2007年6月10日日曜日

冗長も程々に

例えば一昔前のドラマなどで、ヒロインの女性が生きるか死ぬかの大量出血を伴う大怪我をした場合、

医師「お嬢さんの血液型は、Rh-型で希少な血液です。輸血用の血液が手に入るかどうか・・・」

という風な流れになります。体感9割の確率で。ドラマで盛り上がる場面ですね。
Rh-型というのは確かに希少で、ABO式の各血液型に0.5%づつしかいないと言われています。
ただ場面によっては、「希少だから輸血できない」という流れは現実問題としては間違いにもなりうる、というのが今日のお話。


主としてRh型の血液が何を指し示すのかというと、血液中にD抗原を持つか否かという点。99.5%の人は、このD抗原を持つRh+型です。
そしてD抗原を持つ人は、そのD抗原を攻撃する「抗D抗体」を持ちません。D抗原があるのに抗D抗体を持ってたら攻撃されるから、当然ですね。
じゃあRh-型の人はどうかというと、その反対だからD抗原を持たないわけ。そして間違えやすいのが、「基本的には抗D抗体も持たない」というなのだ。
ちょっと纏めてみよう。

【Rh式】...【D抗原】...【抗D抗体】
 Rh+ ..............○................... ×
 Rh- ..............×.....................× ※基本的には※

で、Rh+の血液がRh-の人に輸血できない大前提は、「抗D抗体によって血液の凝集などが起こる」という事があるからなのだ。
でも上のように、基本的にはRh-の人には抗D抗体は無いので問題はないのです。
ただしRh-型の人は輸血や出産で一度でもRh+型の血液が混じってしまうと、抗D抗体を作ってしまう。
そうなるとRh+型からの二度目の輸血は不可能になります。
と、ここらを踏まえてリアルな話を作るとすると、二パターンが考えられる。


【パターン1】
医師「お嬢さんの血液型は、Rh-型で希少な血液です。過去お嬢さんは一度Rh+型の人から輸血をされていて、検査の結果、血中に抗D抗体が作成されている事が確認されました。ですからRh-型の血液を手に入れる必要があるのですが、手に入るかどうか・・・」

【パターン2】
医師「お嬢さんの血液型は、Rh-型で希少な血液です。しかし過去輸血の経験がなかったのでしょう、検査の結果、抗D抗体がない事が判明しました。ですのでRh+型からの輸血はできますが、その場合は抗D抗体が作成されてしまいます。抗D抗体が出来てしまうと二度目のRh+型からの輸血はできず、将来出産する場合に相手の血液型次第では流産の可能性が高くなります。それでも良いのでしたら同意書へのサインをお願いします。それ以外でしたらRh-型の血液を手に入れるしかないですが、手に入るかどうか・・・」


なんという冗長すぎる文章・・・
というかパターン2に至っては、今死んだら将来もクソもないんじゃねーの?という疑問すら湧かせるダメっぷり。
やっぱり変にリアルだとテンポ悪いし、物語なんだからさっぱりいこうぜという気になる。

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