2007年2月20日火曜日

【解説】特殊相対性理論とは何か

【背景】
19世紀末まで、物理学において不動の地位を築いていたニュートン力学によって日常レベルの諸運動の説明は可能だった。
しかしそのニュートン力学も極端な環境下(光の速度や超重力環境)では通用せず、矛盾が出るようになってくる。
それを解消するためにアルバート・アインシュタインが考え出したのが、特殊相対性理論。


【説明】
※相対性原理※
まずアインシュタインは、環境によって物理法則が変化するはずがない、と考えた。
変化したように見える場合、それは法則のせいではなく観測する側とされる側の関係のせいだと。

例えば、車に乗っているとする。
100km/hで走行しているとして、併走する車が99km/hで走行していた場合、あなたの車が1km/h分だけ徐々に前に出て行きますよね。
ではあなたは普通、100km/h出ていると何で判定していますか。
速度メーターだろうか。車外の景色変化からだろうか。
それらの判定材料をすべて捨て、自分の車と相手の車しか判定材料がないようにしてみる。
すると相手は止まって見え、自分は1km/hの速度で徐々に進んでるように見えるはず。
その状態だと、相手が実は99km/h出してて自分が100km/hで走ってるなんて信じられません。決してそうは見えないんだから。
まるで車の仕組みが変わったように思えますが、観測の仕組みが変わっただけで車は何も変わってないですよね?

このように、我々は観測対象と相対的な立場でしか判定を行えない。でも物理法則は変化しない。
これが第一の前提。


※光速度不変の法則※
次にアインシュタインは、真空中の光の速度は「どんな時でも」変化しないものだと定義した。
逆に言えば、光の速度が変化しないと辻褄が合わない話は、光の速度を変えるのではなく観測者の方を変化させるのだ。

またまた例を出すと、あなたは光速の99%の速度が出せるロケットに乗っているとする。
その状態で光と併走したら、通常の物理法則通りだと光はゆっくり自分が乗るロケットを追い越していくように見える事になる。
それだとマズい。観測する自分にだけとはいえ、光の速度がロケットに乗っていない時より遅く見えたって事なりますよね?
上記の第一の前提にもあるように、「光の速度は不変」という物理法則は変化してはいけない。
つまりこういう状態であろうとも、光の速度はロケットに乗っていない場合と同じ速度に見えなければいけない。「どんな時でも」ですから。
じゃあどうするのかと言えば、ロケットの時間が遅くなればいい。
光速の99%の速度が出てるなら、時間の経過がロケットに乗ってない時より99%遅くなるとする。
そうすればロケットから見える光の速度が同じであっても矛盾は出ないですよね?

ちょっと整理してみよう。

1.ロケットに乗っていない人と、光の速度
2.ロケットに乗ってる人と、光の速度
3.ロケットに乗っていない人と、光速の99%で飛んでるロケット

相対的に観測できるポイントは上記三つです。
第一の前提によると、観測対象によって自分の状態がわかる、と言う事になります。
それを踏まえて3のポイントに視点を変えてみると分かりやすいかもしれません。

・ロケットに乗っていない人に比べてロケットに乗っている人は、99%の遅さで時間が経過している。
・その遅さでロケット内では光の速度を観測している。だから光の速度は静止時と変わらないように見える。

こういう事になります。


【まとめ】
特殊相対性理論の特徴は、今まで不変だと信じられてきた時間と空間を可変なものだと結論づけた点だ。
しかもそれを検証してみたら「どうやら本当らしい」という事が示されてしまった。
「多分こういう事なんじゃねーの?」ってところから始まったというから、更に驚き。

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