2007年4月20日金曜日

補色残像の仕組み

前日の記事、ただのモノクロ写真が綺麗なカラー写真に見えただろうか。
不思議な現象ですが、これが「補色残像」と言われる現象です。
ではなぜこのような現象が起こるのか。ちょっと説明してみたいと思う。

人の眼には脳と直結する視神経があります。これが眼に映ったデータを脳へ送るパイプです。
そこに送るデータとしては、以下のものがあります。

・像(平面・立体)
・色(三原色)
・光量

補色残像は、このうち色に関する作用に関係している。当然ですね。
色を識別できるのは網膜の中の黄斑部にある、「錐体細胞」が光を吸収し、刺激を送るからだ。
この錐体細胞は赤・緑・青に反応するものがあり、それぞれ吸収する割合を調整して様々な色を補正している。


そしてここからが補色残像の本質。
錐体細胞が光を吸収して刺激を送る際、ちょっと変な動作をしてしまうのだ。
それは、「見えた色の補色にあたる刺激も送ってしまう」というもの。
例えば赤色を見たとすると、その補色である緑色の刺激も同時に脳へ送ってしまう。
通常は実際に見えている赤色の刺激の方が強いので緑色の刺激の方に脳が気付けないのだが、見えている赤が急に視覚から消えてしまうと緑の刺激のみが脳に残り、結果として残像を生み出してしまう。
これが補色残像の仕組みだと言われています。

前日の絵は、2枚目に本来見せたい色調を想定し、1枚目にその補色にあたる色を配して補色残像によるトリックを作り出しているわけです。

まぁ補色残像が見えても生命活動に何ら支障は無いので、「刺激の同時送信」というエラーが修正されずに進化したといったところか。
人間の眼って意外とこういうファジー機能が盛り沢山だったりする。
面白いね。

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