2008年4月30日水曜日

確定された未来

ネット上の知人と小説について話してた時に思いついたネタ。
ネタというより雑学ですが。


これから言う、ある知的生物を思い描いてください。
その生物はあらゆるものを観て、計算して、その答えを弾き出せるものとします。
その生物の前で例えばボールを投げてみます。するとその生物はボールの位置・運動量・空気抵抗を瞬時に観測して、落下地点を正確に割り出す事ができるでしょう。

ではその考えを少し発展させます。
あらゆる物質の動きが正確に分かるとするならば、その物質がどう動き、その結果がどうなるかを全て見通せる事になりますよね。
宇宙開闢からその生物が世界を観察していたら、全物質の動作から原因と結果を計算して未来の出来事を正確に予測する事ができ、137億年後にあなたがこうしてネットで私の文章を読んでいる事すら分かってるって事になります。
こういう生物を「神」と定義するか「悪魔」と定義するかはお任せしますが。

当然ながら、そんな生物は存在しません。一安心です。
でも実は、存在するかどうかは些末な問題だと思いませんか?
「全ての物質の動きは正確に観測できる」という前提がある限り、未来は決定していることになるわけですから。観測者がいないだけで。
つまり誰も知ることが出来ないだけで、貴方の未来は既に決まってるのです!



まぁ、嘘なんですけどね。
物理法則が全てニュートン力学で計算できると仮定すると、このような話になります。
上記に出てきた知的生物はピエール・ラプラスが考えた「ラプラスの悪魔」と呼ばれるものです。

量子力学が確立した時点で、「未来は決定している」という仮説は否定されました。
なぜなら、ミクロの物質の動きは「決まっているけど人間には観測できない」というものではなく、「複数の状態が共存し合っている」というものだと分かったからです。
例えば一つの電子は複数の場所に存在しえます。
それは複数の場所の「どこかにいる」ではなく、複数の場所に「いる」って事なわけです。理解は難しいかもしれませんが。

物質世界はそういう成り立ちになってるので、仮に全ての情報を知りえたとしても「予測」は不可能って事だ。
実際にその場で観測して、複数の場所に存在するものを一つに確定させてやらなきゃ世界は成立しないってわけ。
よく出来てるなぁと感心する次第であります。

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